耳垢をごっそり取る方法 自分で やってはいけない!?耳掃除 習慣

耳垢をごっそり取る方法と正しい耳掃除の知識
耳の中に違和感を覚えたり、聞こえづらさを感じたりしたとき、つい「しっかり掃除しなきゃ」と思っていませんか?しかし、耳垢はただの汚れではなく、耳を守る大切なバリアでもあります。実は、多くの耳鼻科医が「耳掃除は必要最小限で十分」と伝えており、やりすぎは耳垢栓塞や外耳炎などのトラブルを招く原因にもなります。この記事では、「耳垢をごっそり取る方法」だけでなく、自浄作用を活かした正しい耳掃除のやり方、安全な頻度、耳掃除に適したタイミングや道具の選び方までを、専門的な知見に基づいてわかりやすく解説。乾性耳垢と湿性耳垢の違い、子どもや高齢者が気をつけるべきポイント、カメラ付き耳掃除機などの最新アイテムについても網羅。耳の健康を守りつつ、不要なトラブルを避けるために、正しい知識を身につけましょう。
- 耳垢は体が自然に作り出すもので、耳を守る働きがある
- 耳には耳垢を外に出す仕組みがあり、掃除しなくても自然に出ていく
- 耳垢のタイプは人によって違い、湿ったタイプはたまりやすいことがある
- 無理に耳の奥まで掃除すると逆に耳垢がたまりやすくなる
耳垢とは?知っておくべき種類と役割
耳垢は、外耳道(耳の穴)にある分泌線から出る分泌物と、はがれ落ちた皮膚の細胞、外部からのホコリなどが混ざり合ってできたものです。この分泌線には、耳垢腺(じこうせん)、皮脂腺、汗腺などがあり、特に耳垢腺からの分泌物が耳垢の主な成分となっています。
耳垢には大きく分けて2種類あります。一つは「乾性耳垢」で、白色から黄色でカサカサとした乾燥したタイプです。もう一つは「湿性耳垢」で、黄色から茶褐色でベタベタとした湿ったタイプです。この違いは遺伝子によって決まっており、日本人の約70~80%は乾性耳垢を持っています。一方、白人や黒人などは湿性耳垢を持つ人が約9割と多いという特徴があります。
北海道大学医療大学元学長の新川詔夫先生の研究によると、耳垢のタイプを決めるのは16番目の染色体上に存在する「ABCC11」という遺伝子です。興味深いことに、日本国内でも地域差があり、北海道では約50%が湿性耳垢であるという報告もあります。
耳垢は単なる汚れではなく、実は私たちの耳を守るための重要な役割を持っています。主に3つの働きがあります。
1つ目は侵入したゴミの吸着です。耳垢腺からの分泌物は適度な粘性を持ち、外耳道に入ってくるゴミやホコリを吸着します。外耳道の皮膚には線毛という細かい毛があり、これが耳垢を外に運び出す自浄作用を担っています。また、耳垢の成分が持つ苦味や臭いが昆虫の侵入を防ぐ効果もあるとされています。
2つ目は、耳垢腺から分泌される濃度の高い脂質によって外耳道を湿潤に保ち、外耳道の皮膚を守る潤滑作用です。鼓膜や外耳道は比較的薄い皮膚でできているため、耳垢がこれらを覆うことで物理的な保護や乾燥防止の役割を果たしています。
3つ目は感染防御としての役割です。耳垢は元々弱酸性であり、リゾチームというタンパク質分解酵素と免疫抗体のIgAを含んでいて、細菌の繁殖を抑える抗菌作用を持っています。
外耳道の長さは大人の場合、3~3.5センチほどで、耳の入り口近くには毛が生えています。この外耳道の表皮は約1、2カ月かけて鼓膜から外側に向かって少しずつ移動していき、耳毛のところまで達してはがれ落ち、耳垢腺からの分泌物と一緒になって耳垢となります。このため、耳垢は特に入り口の付近にたまりやすくなっており、外耳道の奥には普通耳垢はありません。
このように、耳垢は私たちの耳の健康を守るための重要な役割を果たしているのです。単なる汚れと考えるのではなく、体の自然な防御機能の一部として理解することが大切です。
耳掃除は本当に必要?医師が教える真実
耳掃除は本当に必要なのでしょうか?この問いに対する医師の見解は意外なものかもしれません。実は、耳には自分で掃除する機能が備わっているため、基本的には耳掃除をする必要はないのです。
耳の中には「マイグレーション」と呼ばれる自浄作用があります。これは外耳道の皮膚が鼓膜付近から耳の入口に向かって少しずつ移動する現象で、この動きによって耳垢は自然と外に排出されるようになっています。外耳道の表皮は約1~2カ月かけて鼓膜から外側に向かって爪が伸びるように移動し、耳の入口付近ではがれ落ちて耳垢となります。つまり、ベルトコンベアー式に耳垢を奥から外に向かって自然に出す仕組みが備わっているのです。
耳鼻咽喉科医の間では「あまり耳垢をごっそり取ることを目指さないでほしい」という見解が一般的です。むしろ、奥まで耳掃除をすることで、かえって出てこようとしている耳垢を奥に押し込んでしまい、耳垢がたまりやすくなるリスクがあります。また、頻繁な耳掃除によって外耳道の皮膚を傷つけ、外耳炎を引き起こす可能性もあります。
川嵜耳鼻咽喉科の院長は「耳掃除などしないとのが、一番正しいのではないか」と述べています。実際、他の動物は耳掃除をしませんが、特に問題なく生活しています。これは、耳の自浄作用が十分に機能しているからです。
しかし、すべての人が耳掃除を完全に避けるべきというわけではありません。耳垢が溜まりやすい体質の人もいます。特に湿性耳垢の人は耳垢が自然に排出されにくく、耳垢栓塞(じこうせんそく)を起こしやすい傾向があります。また、外耳道が狭い人、耳の毛が多い人、アトピー性皮膚炎の人なども耳垢が溜まりやすいことがあります。
もし耳掃除をする場合は、どのようにすべきでしょうか?医師の推奨する方法は、市販の綿棒で耳の入口付近を軽くぬぐう程度にとどめることです。綿棒で除去できないところを軽く耳かきで除去する程度で十分であり、基本的には耳かきを使う必要はありません。入浴後に、綿棒やタオルで軽くふく程度で比較的容易に耳垢を除去することができます。
耳垢は急速に溜まるものではないため、毎日ケアする必要もありません。耳掃除の頻度は2~4週間に一度程度が適切とされています。これは外耳道の皮膚が約2週間で再生するサイクルに合わせたものです。
ただし、ある程度の耳垢が溜まっていると、プールなどで水が入った時に耳垢がふやけて膨張し、耳の穴をふさいで難聴を起こすことがあります。また、健康診断の際に耳垢があるために鼓膜などが十分見えない場合は、耳垢を除去した上で再度鼓膜の所見を確認する必要があります。
このように、耳掃除は基本的には不要ですが、耳垢が溜まりやすい体質の人や、何らかの症状がある場合は、適切な方法で行うか、耳鼻咽喉科を受診することが望ましいでしょう。自分で耳垢が除去しきれないときには、年に1回程度、定期的に耳鼻咽喉科医を受診して除去してもらうことも一つの選択肢です。
自宅での安全な耳掃除法とは?頻度の目安
自宅で耳掃除をする際には、安全で適切な方法を知っておくことが重要です。耳鼻科医の見解によれば、基本的に耳掃除は必須ではありません。耳には自浄作用があり、耳垢は自然に外へ排出される仕組みになっているからです。しかし、どうしても耳掃除をしたい方のために、安全な方法と適切な頻度をご紹介します。
まず、耳掃除の頻度については、2〜4週間に1回程度が適切とされています。これは外耳道の皮膚が約2週間で再生するサイクルに合わせたものです。月に1回程度の耳掃除でも十分であるという医師の見解もあります。頻繁な耳掃除は耳の皮膚を傷つけるリスクを高めるため、「やりすぎ」には注意が必要です。
耳掃除の方法としては、耳の入口から1cmくらいまでを優しく掃除するのが基本です。耳垢ができる場所は「外耳道」と呼ばれる耳のすぐ手前の部分であり、奥の方まで耳垢掃除をする必要はありません。手前の部分を軽く掃除するだけで十分清潔に保つことができます。
耳掃除を行う際は、明るい場所で行うことが大切です。耳垢をしっかりと確認できる環境で行わないと、必要以上に奥まで掃除してしまうリスクがあります。また、周囲に人がいると、不意に手が当たった時や動いてしまった時に鼓膜を傷つける可能性があるため、できるだけ人のいない静かな場所で行いましょう。
道具の選び方も重要です。一般的に市販の綿棒は先端が太すぎるため、耳掃除には適していないという意見もあります。綿棒を使う場合は、耳の入口付近を軽くぬぐう程度にとどめましょう。竹製の耳かきを使用する場合も、見える範囲だけを優しく掃除することが大切です。最近では柔らかいシリコン製の耳かきも販売されており、耳を傷つけるリスクが低いとされています。
耳掃除の時間は2〜3分程度にとどめるのが良いでしょう。長時間の耳掃除は耳の皮膚への刺激が強くなり、外耳炎などのリスクが高まります。また、力を入れすぎないよう注意し、優しく撫でるように掃除することが重要です。
耳垢の種類によっても対応が異なります。日本人の約75%は乾性耳垢(カサカサとした灰白色の耳垢)を持っており、この場合は自然に排出されやすいため、頻繁な耳掃除は必要ありません。一方、残りの約25%の方は湿性耳垢(ネバネバとした褐色の耳垢)を持っており、こちらは自然排出されにくいため、定期的な耳掃除が必要な場合があります。
耳掃除中に痛みを感じた場合は、すぐに中止しましょう。これは鼓膜に近い部位に触れている可能性があり、危険信号です。また、耳掃除後に出血や強いかゆみ、耳だれなどの症状が現れた場合は、耳鼻科を受診することをお勧めします。
このように、自宅での耳掃除は必要最小限にとどめ、安全に行うことが大切です。どうしても耳垢が気になる場合や、耳垢が多く溜まっていると感じる場合は、専門医による耳掃除を受けることも検討してみてください。耳鼻科では、耳掃除だけの受診も保険診療で可能です。

なぜ入浴後の耳掃除は避けるべきなの?
多くの方が入浴後に耳掃除をする習慣がありますが、実はこれは避けるべき行為です。入浴後の耳掃除がなぜ危険なのか、その理由を詳しく説明します。
入浴後は耳の中の皮膚がふやけており、耳垢も水分を含んで柔らかくなっています。この状態で耳掃除をすると、柔らかくなった耳垢を奥へと押し込んでしまう可能性が高まります。耳の奥に押し込まれた耳垢は自然排出されにくくなり、時間の経過とともに固まって耳垢栓塞(じこうせんそく)という状態を引き起こす恐れがあります。
また、入浴後のふやけた皮膚は非常にデリケートな状態です。この状態で綿棒や耳かきを使うと、皮膚を傷つけやすくなります。特に市販の綿棒は、見た目は柔らかそうに見えますが、実際には綿が幾重にも巻かれていて硬いため、ふやけた皮膚を傷つける可能性があります。
皮膚に傷がつくと、そこから細菌が侵入して炎症を引き起こすリスクが高まります。これが外耳炎や外耳道湿疹の原因となることがあります。外耳炎になると、耳のかゆみや痛み、場合によっては耳だれなどの症状が現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。
さらに、入浴後の耳掃除は「かゆみの悪循環」を引き起こす可能性もあります。耳掃除によって皮膚が傷つき、それによってかゆみが生じると、さらに耳掃除をしたくなります。そして再び耳掃除をすることでさらに皮膚が傷つき、かゆみが悪化するという悪循環に陥りやすくなります。
「入浴後に耳の中の水分を取らないと中耳炎になるのでは?」と心配する方もいますが、これは誤解です。中耳炎は細菌が鼻やのどから耳管という管を通って、鼓膜の内側にある中耳に感染し、炎症を起こす病気です。外耳道に残った水分が原因になるわけではありません。皮膚の水分は時間とともに自然に蒸発するものなので、無理に耳掃除をする必要はありません。
入浴後に耳に水が入った場合の対処法としては、ティッシュを軽くこよりにして吸わせるように水分を取り除く方法があります。決してゴシゴシと強くこすらないようにしましょう。また、頭を水が入った耳の方に傾けて、水が自然に出てくるのを待つ方法も効果的です。
入浴後の耳掃除を避けるべきもう一つの理由は、入浴によって体が温まり、血行が良くなっている状態では、耳掃除による刺激で炎症反応が起きやすくなるためです。体が冷えた状態で行う方が、炎症リスクは低くなります。
耳掃除をするなら、入浴から時間を置いて、耳の中が完全に乾いた状態で行うことをお勧めします。それでも、基本的には耳掃除は必要最小限にとどめ、見える範囲の耳垢だけを優しく取り除く程度にすることが望ましいでしょう。
耳垢は不要なものではなく、外耳道を保護し、細菌の繁殖を抑える働きがあります。過度な耳掃除によってこの保護機能を失わせないよう、適切なケアを心がけましょう。耳に違和感がある場合や、耳垢が気になる場合は、自己流の耳掃除に頼らず、耳鼻科を受診することをお勧めします。
どんな人が耳垢トラブルに悩みやすい?
耳垢トラブルに悩みやすい人には、いくつかの特徴があります。まず、耳垢の種類によって大きく異なることを知っておくと良いでしょう。耳垢には「乾性耳垢」と「湿性耳垢」の2種類があり、これは遺伝的に決まっています。
日本人の約7割はカサカサとした乾性耳垢を持っていますが、残りの約3割はベタベタとした湿性耳垢を持っています。湿性耳垢の方は耳垢が自然に排出されにくく、耳垢栓塞(耳垢が耳の穴をふさぐ状態)を起こしやすい傾向があります。特に北海道では約50%が湿性耳垢であるという報告もあり、地域差も見られます。
耳垢トラブルに悩みやすい人の特徴として、以下のような条件が挙げられます:
- 耳掃除のしすぎで耳垢を奥に押し込んでしまう人
- 外耳道が狭い人
- 高齢者(加齢により自浄作用が低下するため)
- 子ども(外耳道が狭く、新陳代謝も盛んなため)
- イヤホンや補聴器を常用している人
- アトピー性皮膚炎の人
- 汗をたくさんかく人
- 耳の穴の形が悪い人
特に子どもは大人よりも外耳道が狭く、新陳代謝も盛んなため、耳垢が溜まりやすいです。子どもの場合、耳垢が多いと「耳垢栓塞」の状態になることがあり、これは耳垢で耳の穴がふさがれる状態です。音の聞こえが悪くなったり、外耳炎を引き起こしたりする可能性があります。
また、耳掃除の回数が多い方も注意が必要です。耳掃除をしすぎると、かえって耳垢を奥へ押し込んでしまい、耳垢が固まって耳の聞こえにも影響してしまうことがあります。さらに、耳掃除によって外耳道の皮膚を傷つけ、外耳炎を引き起こすリスクも高まります。
湿性耳垢の方は特に注意が必要です。綿棒でケアした際に耳垢を奥に押し込んでしまうことがあるため、耳掃除のしすぎには気をつけましょう。耳垢が溜まりやすい体質の方は、自分で無理に耳垢を取ろうとせず、定期的に耳鼻科でチェックを受けることをおすすめします。
イヤホンや補聴器を使用している方も耳垢トラブルに悩みやすいです。これらの機器が耳垢の自然排出を妨げ、耳垢が溜まりやすくなるためです。定期的に耳の状態をチェックし、必要に応じて耳鼻科で耳垢を除去してもらうことが望ましいでしょう。
このように、耳垢トラブルに悩みやすい人にはいくつかの特徴がありますが、どのような体質であっても、耳垢は急速に溜まるものではないため、毎日ケアする必要はありません。耳掃除の頻度は2~4週間に一度程度が適切とされています。自分の耳の状態を理解し、適切なケアを心がけることが大切です。
子供の耳掃除はどう行うべき?特別な注意点
子どもの耳掃除は、大人以上に注意が必要です。子どもの耳は大人に比べて外耳道が狭く、皮膚も薄くてデリケートなため、不適切な耳掃除によって傷つきやすいからです。東京消防庁の報告によると、2018年から2022年の5年間で、耳掃除中にけがをして救急搬送された230人のうち、0~4歳が73人(約32%)と最も多く、次いで5~9歳が33人(約14%)でした。
子どもの耳掃除を行う際の基本的なポイントは、「耳の入り口付近の汚れをぬぐい取るだけでOK」ということです。掃除する範囲は耳穴の入り口から1cmほどで十分です。タオルやガーゼ、綿棒を使って、耳の入り口から見える範囲だけを優しく拭き取るようにしてください。
子どもの耳掃除で特に注意すべきポイントをいくつか紹介します:
- 明るい場所で行う:しっかりと耳垢や耳の中を観察できるように明るい場所で行いましょう。暗いところで行うと、綿棒を思った以上に奥まで入れてしまう可能性があり危険です。
- 耳に棒を入れる深さは入り口から1センチ以内:耳の入り口から1cmまでのところをガーゼや綿棒でぬぐうことで十分に清潔を保てます。耳の奥の鼓膜近くは、皮膚が薄く傷つきやすいため、奥のほうはいじらないようにしましょう。
- 周りをよく確認してから行う:耳掃除をしているときに兄弟やペットがぶつかってきて、耳の中の出血や、鼓膜に穴が開くなどの危険があります。安全に行える場所かどうかまわりをよく確認してから行いましょう。
- 耳かきの使用は避ける:竹や金属など硬い材質の耳かきを使用すると簡単に傷がついてしまいます。子どもの耳掃除にはベビー用の綿棒がおすすめです。子どもの小さい耳にも使いやすく、耳を優しくケアできます。
- 頻度は2週間~1か月に1回程度:耳垢は本来耳の入り口まで押し出されて自然に排出されるので、毎日耳掃除をする必要はありません。2週間〜1か月に1回程度を目安に耳掃除を行いましょう。
- 耳掃除中のケガに注意:子どもが急に頭を動かしたり、暴れたりすることもあります。また、落ちていた綿棒で子どもが遊んでしまい、耳を傷つけてしまうこともあります。使用後の綿棒は子どもの手の届かない場所に片付けましょう。
消費者庁が発表した事故事例には、「竹製の耳かきを使って保護者が子どもの耳かきをしていて、ほかの子どもが接触した拍子に奥まで入ってしまった。出血、嘔吐、ふらつきなどがあり受診したところ、鼓膜に穴が開き、内耳や耳小骨も損傷しており入院となった。聴力が低下した」(3歳)というケースもあります。
子どもが耳掃除を嫌がる場合は無理に行わないことも重要です。山中龍宏先生は「大人は耳あかが取れるとすっきりして気持ちいいと思うでしょうが、子どもは気持ちいいとは思いません。動かないように体を押さえつけられたり、耳を触られたりして、痛かったり、怖かったりする気持ちのほうが強い」と言っています。
もし家庭で耳掃除をするときは、子どもが動かないようにパパがしっかり抱っこして、ママが耳掃除をしてあげるなどの工夫も良いでしょう。ただし嫌がって動くときは、無理せずに耳鼻咽喉科で取ってもらうことをお勧めします。
耳垢をとるくらいでは病院に行きにくいと思うかもしれませんが、耳掃除は保険診療で認められた医療行為です。耳掃除と合わせて外耳道の診察も行うので、耳の病気を早く見つけることができます。子どもは耳垢が溜まりやすく、耳垢を放置すると耳垢栓塞などの病気を発症することもあるので、定期的な耳のチェックが大切です。
最後に、もし耳掃除中に事故が起きた場合、次のような症状があれば至急医療機関を受診してください:
- 耳からの出血が止まらない
- 嘔吐する
- 顔色が悪い・元気がない・食欲がない
- 痛がって泣きやまない
- ふらつく
子どもの耳掃除は、安全を第一に考え、必要最小限にとどめることが大切です。無理に行わず、必要に応じて専門医に相談することをお勧めします。

自分で 耳垢をごっそり取る方法と専門的アプローチ
- 家で耳を安全に掃除するやり方と適した頻度がわかる
- お風呂上がりに耳掃除をしてはいけない理由が理解できる
- 耳の形や体質によって耳垢がたまりやすい人の特徴がわかる
- 病院での耳掃除の方法や専門の道具について知ることができる
耳掃除で起こりうる病気とは?症状と予防法
耳掃除は気持ちが良いものですが、不適切な方法で行うと様々な病気を引き起こす可能性があります。耳掃除によって起こりうる代表的な病気には、外耳炎、外耳道湿疹、耳垢栓塞などがあります。これらの病気の症状と予防法について詳しく解説します。
まず、外耳炎は耳の穴から鼓膜の手前までの外耳道に炎症が起きる病気です。耳掃除のしすぎが主な原因となります。外耳道の皮膚は非常に薄く、少しの刺激でも傷つきやすい状態です。耳かきや綿棒で外耳道をこすりすぎると、皮膚に傷がつき、そこから細菌が入って感染することで外耳炎が発症します。
外耳炎の主な症状は、耳のかゆみ、耳の痛み、耳だれなどです。耳を押したり引っ張ったりすると痛みを感じることがあります。また、耳の中から黄色や白の膿が出てくることもあります。炎症が悪化して外耳道が腫れると、難聴(耳が聞こえづらくなる)や閉そく感(耳が詰まった感じ)を伴うこともあります。さらに、周りで音が鳴っていないのにもかかわらず、耳の中で音が聞こえる耳鳴りの症状が出ることもあります。
次に、外耳道湿疹は耳かきや綿棒を使って頻繁に掃除をすることで、外耳道の中の皮膚が剥がれたり傷ついたりして、皮膚のバリア機能が低下することで起こります。バリア機能が低下すると乾燥しやすくなったり、細菌に感染しやすくなったりして、かゆみを引き起こします。
外耳道湿疹の主な症状は耳のかゆみですが、耳の中がガサガサする、耳の入り口あたりの皮膚がただれる、ジュクジュクするなど、皮膚の状態が変化することが特徴です。耳の中は腕や顔などと同じように表面が皮膚で覆われているため、腕や顔に見られる湿疹と似た症状が現れます。
また、耳垢栓塞は耳垢が溜まって耳の穴の中(外耳道)をふさいでしまう状態です。耳掃除のしすぎで逆に耳垢を奥に押し込んでしまうことが原因の一つとなります。外耳道がふさがれると、音の聞こえが悪くなったり、耳に圧迫感が生じたり、耳鳴りが起こったりする場合があります。また、耳垢栓塞が原因で外耳炎になることもあります。
これらの病気を予防するためには、適切な耳掃除の方法を知ることが重要です。以下に予防法をいくつか紹介します:
- 耳かきの頻度を抑える:耳垢は放っておいても耳の外に排出される仕組みになっているので、耳かきは本来しなくても問題ありません。正しい耳掃除の頻度は月に1回程度で十分です。
- 耳の入口付近だけを掃除する:耳垢は入口から1cm位のところに存在し、それ以上の奥を耳掃除する必要はありません。汚れが気になる場合でも、綿棒のような柔らかいものを用いて、耳の入り口付近を優しく拭き取ることで充分です。
- 入浴後の耳掃除を避ける:入浴後は耳垢が水分を含んで柔らかくなっているため、この状態で耳掃除をすると耳垢を奥へと押し込んでしまう可能性が高まります。
- イヤホンの長時間使用を控える:イヤホンを長時間装着していると、外耳道の内側に傷がつく可能性があるほか、イヤホン装着中に皮膚が高温多湿の状態となり、細菌が繁殖しやすくなります。
- 洗髪の際はシャンプー液が耳に入らないように注意する:シャンプー液が耳に入ると、かぶれの原因になることがあります。すすぎ残しにも気を付けましょう。
もし耳掃除による病気の症状が現れた場合は、自己流の対処法に頼らず、早めに耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。医師による適切な治療を受けることで、症状の緩和や再発防止につながります。
耳掃除による病気を予防するためには、「耳を触りすぎない」という意識が最も重要です。耳垢には外耳道を保護し、細菌の繁殖を抑える働きがあります。過度な耳掃除によってこの保護機能を失わせないよう、適切なケアを心がけましょう。
耳垢が大量に取れたらなぜ注意が必要?
耳垢が大量に取れた場合、それは単に気持ちが良いだけでなく、何らかの病気のサインである可能性があります。なぜ注意が必要なのか、詳しく説明します。
まず、耳垢が大量に取れる状況には、いくつかのパターンが考えられます。一つは、長期間耳掃除をしていなかった場合です。この場合は、自然に溜まった耳垢が一度に取れるため、大量に見えることがあります。しかし、通常の耳垢の自然排出のメカニズムを考えると、健康な状態では耳垢が大量に溜まることはあまりありません。
もう一つのパターンは、耳垢栓塞(じこうせんそく)という状態です。これは耳垢が溜まって固まり、外耳道をふさいでしまう状態です。耳垢栓塞になると、音の聞こえが悪くなったり、耳に圧迫感が生じたり、耳鳴りが起こったりする症状が現れます。また、耳垢栓塞が原因で外耳炎になることもあります。
耳垢栓塞の原因としては、以下のようなものが考えられます:
- 耳掃除のしすぎで逆に耳垢を奥に押し込んでしまう
- 子供の場合は、大人に比べて外耳道が狭いため、耳垢が溜まりやすい
- 加齢により耳垢の自浄作用が機能しなくなってくる
- 補聴器や耳栓を使用している方は耳垢が溜まりやすい
- 湿ったタイプの耳垢は外耳道に詰まりやすく、耳垢栓塞の原因になりやすい
特に湿性耳垢の人は注意が必要です。湿性耳垢は外耳道に付着しやすく、固まってしまうことがあるため詰まりやすいという特徴があります。また、プールやお風呂などで耳に水が入った際、耳垢が膨張して耳に詰まり、耳垢栓塞の症状が強く出ることもあります。
さらに、耳垢が大量に取れる場合は、外耳道真菌症や外耳道真珠腫などの病気の可能性も考えられます。外耳道真菌症は外耳で炎症が起こりカビが繁殖する病気で、耳だれが大量に出たり強いかゆみや痛みを伴ったりします。外耳道真珠腫は耳の奥に耳垢が溜まって炎症を起こし、皮膚の奥にある骨を溶かしていく病気です。
耳垢栓塞の場合、自分で耳掃除をすると悪化する恐れがあるので、耳鼻科での処置が必要です。耳鼻科では、耳鏡や顕微鏡で耳の中を見ながら、耳垢鉗子や吸引管などを使って耳の穴を塞いでいる耳垢を取り除きます。治療は通常1回の通院で済みますが、耳垢が硬くなっている場合は専用のお水を使って耳垢を柔らかくし、数回に分けて取り除くこともあります。
耳垢栓塞になりやすい方や、耳掃除が難しいお子様は定期的に耳鼻科に受診されると良いでしょう。特に幼稚園や学校のプールの前には、耳鼻科で耳掃除をすることをお勧めします。
また、耳垢が大量に取れた後に、耳の痛みや耳だれ、難聴などの症状が現れた場合は、外耳炎などの合併症が起きている可能性があります。このような症状がある場合は、早めに耳鼻科を受診しましょう。
耳垢は不要なものではなく、外耳道を保護し、細菌の繁殖を抑える働きがあります。過度な耳掃除によってこの保護機能を失わせないよう、適切なケアを心がけることが大切です。耳垢が気になる場合は、自己流の耳掃除に頼らず、耳鼻科での適切な処置を受けることをお勧めします。
どの耳かきを選ぶべき?素材別の特徴と選び方
耳かきを選ぶ際には、素材や形状によって使い心地や効果が大きく異なります。自分の耳垢のタイプや耳の状態に合った耳かきを選ぶことで、安全かつ効果的な耳掃除が可能になります。
まず、耳かきの素材には主に4種類あります。木製(竹など)、金属製(チタン・ステンレスなど)、ゴム製(エラストマーなど)、そして合成樹脂製です。それぞれに特徴があるため、自分の好みや耳の状態に合わせて選びましょう。
木製の耳かきは、日本で古くから親しまれてきた伝統的な素材です。竹製の耳かきは、若干の曲げ幅があり、肌当たりが柔らかいのが特徴です。見た目にも温かみがあり、感触も優しいため、肌が弱い方や刺激に敏感な方に向いています。ただし、湿気に弱くカビが生えやすいため、保管場所には注意が必要です。また、長期間使用していると割れる可能性もあるので、使用前に先端部分にささくれや割れがないか確認することが大切です。
金属製の耳かきは、チタンやステンレスなどの素材が使われており、耐久性に優れています。さびに強く、水洗いができるため衛生的に使えるのが大きな魅力です。また、硬い素材なのでハードな使い心地が楽しめ、耳垢をごっそりと取れるというメリットもあります。一方で、素材が硬いため耳の中を傷つけてしまう恐れがあります。皮膚が傷つきやすい方や、耳の穴のサイズが小さい方には不向きかもしれません。また、乾燥した耳垢は取りやすいですが、湿った耳垢はあまり除去できないというデメリットもあります。
ゴム製の耳かきは、エラストマーなどの柔らかい素材でできており、耳への当たりがソフトなのが特徴です。大きくしなるので、強く力がかかりすぎてしまうことが少なく、耳の中を傷つけるリスクが低いです。特に耳の中がデリケートな方や、耳かきが苦手な方におすすめです。水洗いも可能で使い勝手に優れており、リーズナブルな価格の製品が多いのも魅力です。ただし、素材自体には傷がつきやすいので耐久性はやや低く、熱などで劣化しやすいため定期的な交換が必要になることがあります。
合成樹脂製の耳かきは、水洗いができて衛生的に使えるのが特徴です。ポリアセタールなどの医療器具にも使われる素材を採用した製品もあり、耳にも優しく安全性が高いです。
次に、耳かきの形状も重要なポイントです。主な形状には、ヘラ型、スクリュー型、スパイラル型などがあります。
ヘラ型は最もオーソドックスなタイプで、先端部分がスプーンのような丸みを帯びた形になっています。乾燥した耳垢の方に適しており、小回りが利きやすく、細かい耳垢や奥にこびりついている耳垢を削ぎ取りやすい点がメリットです。ただし、ヘラ部分の大きさに注意が必要で、大きすぎると耳垢を奥に押し込んでしまう可能性があります。
スクリュー型は先端がらせん状になっているタイプで、耳の壁にあててくるくると回すことで耳垢を絡め取る仕組みです。360°どの角度からでも使用でき、すべての面で耳垢を絡めとれるため、耳かきの向きを気にする必要がありません。特に粘りのある湿性の耳垢に効果的です。ただし、慣れるまでは力加減がやや難しく、強く当てると耳穴を傷めてしまう可能性もあるので注意が必要です。
スパイラル型は先端がバネのような形状になっているのが特徴で、先端のすき間が耳にこびりついている耳垢を絡めとります。乾燥している耳垢はもちろん湿性の耳垢にも効果的です。無駄な力を吸収することで過度な力がかかりにくいので、普段綿棒でお手入れをしている方やハードな使用感が苦手な方におすすめです。
また、粘着式の耳かきも人気があります。これは耳垢をかき出すのではなく吸着させて掃除するタイプで、耳の中を傷つけたくない方や痛みに弱い方におすすめです。水洗いで何度も使用できるものもあり、経済的です。
耳垢のタイプによっても選ぶべき耳かきは異なります。日本人に多い乾性耳垢(カサカサとした灰白色の耳垢)の場合は、ヘラ型やワイヤー型が適しています。一方、湿性耳垢(ベタベタとした耳垢)の場合は、スクリュー型やスパイラル型、粘着式が効果的です。
最後に、耳かきを選ぶ際には、自分の耳の大きさも考慮することが重要です。先端が耳の穴に対して大きすぎるものだと、耳の奥まで入らず耳垢が除去できないため注意が必要です。商品のサイズと耳穴の大きさを確認した上で商品を選ぶことで、失敗を未然に防げるでしょう。
このように、耳かきを選ぶ際には素材、形状、自分の耳垢のタイプ、耳の大きさなど様々な要素を考慮することが大切です。自分に合った耳かきを見つけることで、安全で効果的な耳掃除が可能になります。

最新テクノロジー:カメラ付き耳掃除機は効果的?
近年、耳掃除のテクノロジーは大きく進化しており、特に注目を集めているのがカメラ付き耳掃除機です。これらの製品は、スマートフォンと連動して耳の中を見ながら掃除できるという画期的な機能を持っています。しかし、実際にこれらの製品は効果的なのでしょうか?
カメラ付き耳掃除機(イヤースコープとも呼ばれます)の最大の特徴は、耳の中を見ながら掃除できる点です。従来の耳かきでは見えない耳の内部を可視化することで、より安全に、そして効率的に耳垢を除去できるというメリットがあります。特に子どもや高齢者の耳掃除をする際に、安全にケアできるため重宝されています。
最新のカメラ付き耳掃除機には、高精細カメラと明るいLEDライトが搭載されており、暗い耳の中を鮮明に映し出すことができます。例えば、1000万画素の高精細カメラと1080Pの高画質映像を備えた製品もあり、耳垢の状態を詳細に確認できます。また、IP67防水機能を搭載した製品もあるため、水洗いによるお手入れも簡単です。
カメラ付き耳掃除機の多くは、複数のアタッチメントが付属しています。耳かきノズルと吸引ノズルの2種類が基本ですが、中には4種類以上のヘッドが付属している製品もあります。これにより、耳垢の状態や好みに合わせて最適なヘッドを選択できます。
また、最新の耳掃除機には振動機能が付いているものもあります。振動によって耳垢を落としてから吸引する仕組みで、弾性素材の先端ノズルで耳の中を傷つけにくく設計されているため、子供や高齢者にも安心して使用できます。
カメラ付き耳掃除機の効果については、個人の耳垢の種類や量、使用方法によって大きく異なります。乾性耳垢の場合は、カメラで確認しながら適切に除去できるため効果的です。一方、湿性耳垢の場合は、粘着性があるため吸引機能付きの製品が効果的かもしれません。
しかし、カメラ付き耳掃除機にもいくつかの注意点があります。まず、価格が従来の耳かきに比べて高いことが挙げられます。また、操作に慣れるまで時間がかかる場合もあります。さらに、カメラの画質や照明の明るさによっては、耳の中が十分に見えないこともあります。
最も重要な注意点は、見えるからといって奥まで掃除してしまうリスクです。耳鼻科医の見解では、耳掃除は基本的に耳の入口から1cmくらいまでにとどめるべきとされています。カメラで奥まで見えるからといって、必要以上に奥まで掃除すると、外耳道を傷つけたり、耳垢を奥に押し込んだりするリスクがあります。
実際の使用者の声としては、「耳の中が見えるので安心して掃除できる」「子どもの耳掃除が楽になった」という肯定的な意見がある一方で、「操作が難しい」「思ったほど耳垢が取れない」という意見もあります。特に吸引力については個人差があり、「吸引力が思うほど強くない」という声もあれば、「なかなか、いい感じに、耳アカが取れています」という声もあります。
音の大きさについても、「音は思っていたよりも大きかったですが、騒音とまではいかず、耳に入れても不快感はなかった」という意見や、「掃除機みたいな音はします」「音はそこそこゴーとしますが慣れれば大丈夫」という意見があります。
カメラ付き耳掃除機を選ぶ際のポイントとしては、カメラの画質、LEDライトの明るさ、吸引力の強さ、バッテリー持続時間、防水性能などが挙げられます。また、スマートフォンとの互換性も確認しておくことが重要です。
結論として、カメラ付き耳掃除機は従来の耳かきに比べて安全性が高く、効果的な耳掃除が可能になる可能性がありますが、正しい使用方法を守ることが重要です。特に、耳の奥まで掃除しないこと、力を入れすぎないことなど、基本的な注意点は従来の耳かきと同じです。また、耳に違和感や痛みがある場合は、自己流の耳掃除を避け、耳鼻科を受診することをお勧めします。
カメラ付き耳掃除機は便利なツールですが、あくまでも補助的なものと考え、耳の健康を第一に考えた使用を心がけましょう。
固まった耳垢にはどう対処する?専門的方法
固まった耳垢は自分で無理に取ろうとすると、かえって奥に押し込んでしまったり、外耳道を傷つけたりする恐れがあります。固まった耳垢に対処するための専門的な方法をご紹介します。
まず、固まった耳垢に対しては「耳垢水」と呼ばれる専用の液体を使用することが効果的です。これは耳垢をふやかして柔らかくするための薬液で、主に耳鼻科で処方されます。耳垢水を数日間点耳することで、固くこびりついた耳垢が柔らかくなり、除去しやすくなります。
家庭でできる対処法としては、ミネラルオイルやベビーオイルを使う方法があります。少量のオイルを耳に入れ、15〜30分ほど放置することで、固まった耳垢が柔らかくなることがあります。ただし、この方法は鼓膜に穴が開いていないことが確認できている場合に限り、医師の指示に従って行うべきです。
また、市販の耳垢除去用の点耳薬も利用できます。これらの製品には、過酸化水素水や炭酸水素ナトリウムなどが含まれており、耳垢を溶かす効果があります。使用する際は必ず説明書をよく読み、指示通りに使用することが重要です。
ただし、これらの方法を試しても耳垢が取れない場合や、耳に痛みや違和感がある場合は、自己判断での対処を続けるのではなく、耳鼻科を受診することをお勧めします。特に「耳垢栓塞」と呼ばれる状態(耳垢が大量に溜まって固まり、耳の穴をふさいでしまう状態)になっている場合は、専門医による適切な処置が必要です。
耳垢栓塞の症状としては、聞こえが悪くなる(難聴)、耳の閉塞感(詰まった感じ)、自分の声が大きく響いて聞こえる(自声強調)などがあります。また、喉の違和感や胃の不快感などが現れることもあります。
耳垢栓塞になりやすい人の特徴としては、湿性耳垢の方、お子様、高齢者、補聴器やイヤホンを頻繁に使用している方、耳掃除を頻繁に行う方などが挙げられます。これらに当てはまる方は、定期的に耳鼻科でのチェックを受けることをお勧めします。
固まった耳垢に対処する際の注意点として、耳掃除のしすぎは逆効果になることがあります。耳垢は通常、耳穴の外側に自然に排出されるため、家庭で積極的に耳垢を取り除く必要はありません。適切な頻度としては、4週間に1回程度、清潔な綿棒を使って耳の入口に現れた耳垢をそっと拭き取る程度が理想的です。
耳の奥を強く掃除したり、頻繁に耳に触れる行為は避けましょう。耳垢を耳の奥に押し込んでしまうことがあるだけでなく、耳の内部を傷つけて炎症を引き起こす原因となる可能性があります。
このように、固まった耳垢に対しては、まずは専用の液体で柔らかくしてから除去するのが基本です。自己流の対処で改善しない場合は、迷わず耳鼻科を受診しましょう。
耳鼻科ではどのように耳垢を除去するの?
耳鼻科では、専門的な知識と技術、そして特殊な器具を用いて安全に耳垢を除去します。耳鼻科での耳垢除去の方法について詳しく説明します。
耳鼻科医は、まず耳鏡や顕微鏡を使って耳の中を詳しく観察します。これにより、耳垢の状態や量、鼓膜の状態などを確認します。健康な耳では、これらの機器を通して鼓膜がクリアに視認できますが、耳垢が過剰に溜まっていると、鼓膜が耳垢で覆われて見えなくなることがあります。この場合、耳垢栓塞と診断されます。
耳垢の除去方法は、耳垢の状態や量によって異なります。主に以下の方法が用いられます:
- 用手的除去(様々な器具を用いた除去):
耳鼻科医は耳垢鉗子(かんし)、吸引器、異物鈎(こう)などの専門道具を使用します。軟らかい耳垢には吸引器もしくは鋭匙(えいさじ)、硬い耳垢には輪匙(わさじ)もしくは鉤(かぎ)を用いて除去します。必要に応じてワニ口鉗子も使用します。これらの器具は直視下で使用し、オトスコープの処置用ヘッドと耳鏡を通して挿入されます。 - 洗浄による除去:
穿孔(鼓膜に穴が開いている状態)の危険因子がない場合に行われます。シリンジに洗浄液を満たし、洗浄用チューブを外耳道に約0.5cmのみ挿入して穏やかな水圧で洗浄します。水流を耳垢の周囲または上方に向けることで、耳垢の奥に溜まった水によって耳垢を押し出すことができます。 - 耳垢水の使用:
耳垢が大きすぎたり、外耳道へ強く付着している場合には、「耳垢水」という液体を使って耳垢をふやかしてから取り出します。これにより、痛みなく耳垢を除去することができます。
処置中は、頭部を動かさないよう患者に指示し、外耳道をまっすぐにするために必要に応じて耳介を上後方(成人の場合)または下後方(小児の場合)に愛護的に牽引します。患者は多少の不快感を覚えることがありますが、処置に痛みが生じた場合は処置を中止し、耳の再診察を行って損傷の徴候がないか確認します。
大量に耳垢が溜まっている場合、両耳同時に処置をすると、処置後に一時的なふらつき・めまいが起こることがあるため、片耳ずつ処置することもあります。また、耳垢が硬くなっている場合は、専用のお水を使って耳垢を柔らかくし、数回に分けて取り除くこともあります。
耳垢除去の費用については、保険診療の対象となっており、初診で片耳約1,200円、両耳約1,400円、再診で片耳約600円、両耳約800円程度です(医療機関によって異なる場合があります)。
耳垢栓塞になりやすい方や、耳掃除が難しいお子様は定期的に耳鼻科に受診されると良いでしょう。特に幼稚園や学校のプールの前には、耳鼻科で耳掃除をすることをお勧めします。
耳鼻科での耳垢除去は、専門的な知識と技術によって安全に行われるため、自己流の耳掃除で悩んでいる方や、耳垢が気になる方は、迷わず耳鼻科を受診することをお勧めします。
耳垢をごっそり取る方法@自分で|やってはいけない!?耳掃除習慣 まとめ
- 耳垢は耳の自浄作用で自然に排出されるため無理に取る必要はない
- 耳垢のタイプは乾性と湿性があり、湿性耳垢の人は詰まりやすい傾向がある
- 耳掃除のしすぎは耳垢を奥に押し込んでしまい、耳垢栓塞の原因になる
- 耳垢には殺菌・保湿・防虫などの役割があり、取りすぎると耳を守る機能が失われる
- 耳掃除は2~4週間に1回、耳の入り口1cm程度を軽く拭く程度が望ましい
- 入浴後の耳掃除は耳垢がふやけて奥に押し込まれやすくなるため避けるべき
- 固まった耳垢はオイルや耳垢水でふやかすか、耳鼻科で安全に除去してもらう
- 耳垢が大量に取れる場合は耳垢栓塞や他の耳の病気のサインである可能性がある
- 耳掃除によって外耳炎や湿疹などの皮膚トラブルを引き起こすことがある
- 子どもの耳掃除は特に注意が必要で、無理に行わず見える範囲のみを優しくケアする
- 綿棒や耳かきの使い方には注意が必要で、素材や形状を耳垢のタイプに合わせて選ぶ
- カメラ付き耳掃除機は可視化により便利だが、奥まで掃除しすぎないよう注意が必要
- 耳垢除去は耳鼻科で保険診療として安全に処置してもらえる
- イヤホンや補聴器の常用者は耳垢が溜まりやすく定期的なチェックが推奨される
- 耳垢を「ごっそり」取るより、必要最小限のケアが耳の健康維持には有効
機関名 | ページタイトル | URL |
---|---|---|
厚生労働省 | 耳の病気について | https://www.mhlw.go.jp/… |
東京都福祉保健局 | 耳掃除の正しい方法と注意点 | https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/ |
東京消防庁 | 子どもの耳掃除によるけがに注意 | https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/syouni/syouni_08.html |
消費者庁 | 家庭内で起こる子どもの事故 | https://www.caa.go.jp/…031/ |
国立成育医療研究センター | 子どもの耳ケアの注意点 | https://www.ncchd.go.jp/ |
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